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−−−鈴木遼一side−−−
強ばっていた瑞希の体から力が抜けたのが分かった。俺に委ねてくれてるんだ。
ソープで働こうって提案にホイホイ着いてくるくらいだから、卒業してからビッチにでもなったのかと内心苛ついてた。
そっか、忙しくて恋愛もしてなかったのか。まさかソープって言葉の意味も知らないほどに遊んでなかったなんてな。
瑞希が体全体で凭れ掛かってきてくれてるのが嬉しい。
その上、俺から逃げようとして暴れまわってた舌も静かになってる。
静か……ん?静かすぎないか?
「瑞希?…えっ、瑞希?!」
瑞希は、俺に心を許してくれたわけではなく、気を失っていた。そうか……こういうことに耐性無さすぎなのかもしれない。
これは……もしかしなくても、すぐには店に出せそうにないな。
キスで気を失うなんて純情っぷりに、さぁどうしたら良いものかと、ジッ……と見守っていると、瑞希はうっすらと目を開けた。まぁ目覚めてくれなきゃ困る。
「あれ?俺………あっ………」
思い出したようで顔を赤らめて口元を両手のひらで隠すって、それ、わざとやってるわけじゃ無さそうだから天然なんだな。うん、少し分かってきた。ただのクラスメイトだと自分に思い込ませ距離をとろうとしてた頃には見えなかった部分。
「あの、さ。俺さっきみたいな事するの初めてで…その、ソープってお客様とキスする所なの?」
見た目上玉そうなのにそうきたか。性的知識も経験もないらしい。
ビッチじゃなく無知だったと知り、ホッとしてる自分もいるからややこしい。
「瑞希。キスだけじゃなくて本番、つまりセックスもする所だよ。ただヤるんじゃなくて、ちゃんと愛情込めて」
「セックス?愛情?」
「そう。性欲満たしたいだけの人も来るけど、人恋しいお客様も来る所だよ」
急には理解が難しいようで、ひたすら目をパチクリさせてり、上を向いてみたり、首をかしげて考えているようだ。
「瑞希。とりあえず、この家の家事と、俺と触れあって人に慣れる所から始めてみないか?」
「……分かった!じゃぁ、とりあえずはさ。大きなゴミ袋出してくれない?」
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