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深見信一は、知る人ぞ知る人気童話作家。次の作品の題材を猫に選んだものの、これまで飼った経験がなかった信一は、猫の生態を知るためこうして猫カフェにやって来たのだった。
信一の取材目的を知っている店員は、その奇妙な行動に口を出すことは無かったのだが、他の客が完全に引いているのを見てさすがに声をかけた。
「お客様、申し訳ありません。他のお客様のご迷惑にならない範囲でやって頂けませんか?」
「えっ?」
信一は体を起こすと、回りを確かめた。他の客は遠巻きにこちらを見ているだけで、「ふれあい広場」に入ってくる様子はない。中にいるのは自分だけで、猫たちは広いスペースのあちこちに寝そべっている。
「いや、迷惑って……。こんなにスペース空いてるし、僕だけが猫を独り占めしてる訳じゃないですよ?」
信一は心外だと言わんばかりにそう言った。だが、店員はちょっと顔をしかめるとさらに続けた。
「いえ、場所がどうこうという話ではなくて、お客様の行動が……」
「行動?」
信一は首を捻った。
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