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猫になりたい
「うーん……」
深見信一はカーペットにうつ伏せになりながら唸った。視線の先には、同じように寝そべった一匹の猫がいる。猫はじっと見つめてくる信一を気にする様子もなく、時々毛繕いしながら大人しくしていた。
ここは、都内にある猫カフェ。1ドリンクから多くの猫と触れ合えるごく一般的な店なのだが、信一以外の客は遠巻きに居並ぶだけで、猫と遊んでいる様子はない。
それもそのはず、信一は店に入るや否や「ふれあい広場」と書かれたカーペット敷きの場所を陣取り、先述の通り、猫を眺めては唸っているのだ。
端から見たら完全に“あやしい奴”なのだが、信一本人は至って真面目だった。
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