3 声だけの逢瀬で真実を

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「ニア、実は話したいことがあって」 「何? ルディの方もうまくいかなかったの?」 「いや、俺の方は、うまくいったというか、なんというか……」 「じゃあ、婚約解消できそうなのね! 羨ましい……」  そうか、羨ましいか……。 「今度そっちに行くから、その時に話をしたいんだ」 「こっちに来てくれるの? 嬉しい! その時にそのまま、駆け落ちしちゃいましょう」 「あ、いやその、駆け落ちはまだ早いかなって……」 「……ルディ」 「はい」  少し間を空けたあと、ニアが恐る恐る口にした。 「もしかして、ルディの方が上手くいったのって……」 「えっ、な、何」 「……私よりも、好きな人ができたの?」  本当に小さな声で、囁くように呟かれた震える声に、俺は色をなくして言い募る。 「ない! ないない、絶対それはない! 俺が好きなのはニアだけだ!!」 「無理しなくて…も………」  抑えるような嗚咽が聞こえる。違う、違うんだ、こんなふうに泣かせたい訳じゃないんだ。 「あの、ご、ごめんなさ……。……ショックで、祝ってあげられなくて……」 「違う! 祝わなくていい、俺はニアが好きなんだ! 会いに行くから、その時にちゃんと話そう。二日後にそっちに行く!」 「……え? あの、思ったより急だけど、日程がギリギリじゃない?」 「予定を早める! 今から支度して明日の朝には出る! 顔を見たいんだ、君に会いたい。そのときに、君を泣かせた俺をぶん殴ってくれ」 「ルディ……ばか」  ようやく聞こえた嬉しそうな声に、ほっと息を吐く。 「ニア、君だけを愛してる。二日後の夕方の鐘が鳴るときに、あの丘で会おう」 「私も愛してるわ、ルディ。待ってるから……」  ニアとの通信を切る。  勝負は、二日後だった。
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