日常と思い出

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日常と思い出

 私の朝は早い。  高校2年の息子は部活の朝練で朝5時30分には自転車に乗って出ていく。小学生からやっている野球。強豪校ではなく、毎回毎回2回戦止まりだけれど、その中で息子はなんとかベンチに入るくらい。  大きめのお弁当を2個もたせる。練習後に大きいおにぎりを一個。お昼には質より量のボリューム弁当。  おにぎりの大きさはどんどん大きくするようにリクエストされている。  息子を送り出すと夫が起きてくる。朝食を取り、コーヒーを二杯。ゆっくり飲んでからマイカーに乗って出勤。  食器を片付けていると、大学生の娘が 「お母さん、グラノーラ、メーカーが違うんだけど!」とおかんむり。知らんがな。 「特売だったのよ、それ。成分ほとんど変わらないんだからいいんじゃないの?」  と、言ったら更に怒り出す。 「やだ!糖質オフのじゃないと!太ったらどうすんのよ!お母さんに似たら太る体質じゃん!」 「気に入らないなら自分で買ってきなさいよ。」  全く!言っときますけど、私、普通体型ですからね?あんたが痩せすぎてるの。糖質制限し過ぎでイライラしてるんじゃないの?糖質だって大事な栄養素なんだから、ちゃんと取らないとだめでしょ!って言ったところでまたわめくんだろうねぇ。 「もういい!そうするから!ご飯いらない!行ってきます!」 「はい、気をつけるのよ。いってらっしゃーい!」  一限目から講義があるとかで。7時15分、やっと全員が家をでていった。  お茶でもしようかな、と座ろうとしたら、エプロンのポケットに入れていたスマホがなった。  息子からLI○Eだ。  正直、嫌な予感しかしない。  案の定、ポップアップには 「ヤバイ!どうしよう」と出てくる。  一体何があったのか。  ため息をつきつつ、開ける。 「ヤバイ!どうしよう!戸籍抄本取ってきてない。今日締め切りだった。」  はあ、とため息がでる。  秋に海外への修学旅行がある。韓国への二泊三日。パスポートがない人は、学校でまとめて旅行会社を通して申請してもらうことになっていた。  お知らせのプリントは渡されてないので、息子のカバンの中に入れっぱなしだろう。  さて、どうしようか。こんな時、いくつかの案を頭の中で出して、そのどれが一番いいか検討する。  
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