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「奥さん、脳に異常はないから時期目が覚めるって聞いたよ。」
友月から聞いた話を言ってみる。
「そうなの?しぶといわねぇ。まあ、しかたないか。」
何が仕方ないのかわからない。
「どうするつもりなの?認知してもらうつもり?」
「別にー。まあ、今までの養育費とか少しは融通してもらおうとは思うけどさ。え?ていうか、認知されてないってなんで分かったの?」
「いや、妊娠に気づいたときは別れてて連絡取れなかったってさっき言ってたし。」
実は昨日の夜、友里花ちゃんのカバンの中をみたら、パスポート申請の為に取っていた戸籍抄本があった。友里花ちゃんに心で詫びながらみたら、父親の欄が空欄だった。
ものすごくホッとしたのはこの母親にはナイショだ。
「ふーん。アンタも少しは頭回るのね。ね、天夜の息子ってどんな感じ?最近はあったことあるの?」
「……いや、小学校卒業してからは全然。」
同じ高校に通ってるけどね。ちょっかいかけられたら迷惑だから嘘をつく。
「なーんだ。つまらない。アンタに引っ掛けてもらおうと思ったのにねぇ」
「え?……だって……そうだとすると私と息子さん、異母兄妹だよね?」
「あはは!戸籍に入ってないから法には触れないでしょ。世間的にはバレたらヤバいんだろうけどねー、あのセレブにとっては。」
本当にこの母親はヤバイ。なんなら二人が深い仲になったところで天夜の家へやってきて脅迫でもするつもりなんだろう。でも少しでも我が娘のことを考えたらこんなこと言えないはずだ。この人にとってはお腹を痛めて産んだ我が子さえ自分の駒にしか過ぎないのだと実感した。
私が二人を、いや、友祐さんをも祐子もみんなまとめて守るしかない。そのためにやれることは何でもやろう。私は、心に誓った。
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