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ともかく早く天夜透子の身体に戻って友祐さんと話さないと!
結婚して以来、浮気のうの字も疑ったことはない。
良い人、と書いて夫と読むと聞いたときはまさしく友祐さんのことだと思った。
穏やかで怒った顔を見たこともない。子育ても一生懸命参加してくれた。
無駄遣いもせず、仕事以外の外出もなく、常に私や子供たちを第一に考えてくれた。
経済誌のインタビューを受けたときは「優先順位はつねに家族が最上位」なんて答えていて。「会社の役員としてどうなのよ!」ってからかったっけ。
燃えるような気持ちはないけど、ずっと春の日差しのようなポカポカした気持ちでいられた。子どもたちが独立したら二人でゆっくりしたいって思ってた。
信じたい。息子の初恋が、友祐さんの裏切りで壊れるなんて絶対に嫌だ。
とりあえず友里花ちゃんを抱きしめている友月を離す。
「友月くん、あの、今はお母さんの所にいてあげて。私は、全然気にしてないから。」
友月は名残惜しそうに友里花ちゃんを放して帰って行った。
神様!明日目が覚めたら、オバサンに戻っていますように!
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