開幕前

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 待ちぼうけを食わされている義勇軍がいた。  平時と変わらず、一日が過ぎると思っていた下級役人がいた。  庵の中で相も変わらず過去の戦を振り返る賢人たちがいた。  幼いながら地方高官に見出され、仕事に赴く少女がいた。  想い人が帰還せず、失意に沈む令嬢がいた。  悲しみに沈む少女を、どうにか笑顔にしようと奮闘する少年兵がいた。  上司に恵まれない、黄巾と対峙した後漢軍の将がいた。  いち早く乱世に入った騎馬遊牧民族の者たちがいた。  弱きを助け、強きを挫きたい正義の男がいた。  正しき者が害を受け、悪しき者が得をすることに嫌気がさしたひねくれ者がいた。  時代を一つ、進めよう。  ひとりの男の、挑戦と挫折の、物語。  ひとりの男の、諦めと義侠心の、物語。  ふたりの男の心を糧に巻き起こる炎は、国を燃やし焦がすことができるのか。  新たな章はそんな、荒んだ物語。  此度もどうぞ皆さま。  長らくのお付き合いとなりますよう。  演目を観劇中の皆さまにおかれましては、遠慮会釈なく、賞賛や叱責など思い思いの感想をお叫びくださいませ。  それでは、―――開幕。
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