一幕 ①烈士と義勇軍

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 (ちょう)(きん)の朝は早い。  空が白み始めた頃に目を覚ますと、隣に寝ている妻を見て顔を綻ばせ、もうすぐ一歳になる娘の頭をそっと撫でてから二人を起こさないようにそっと布団から出る。  夜着のままで庭に出て、壁に掛けてある武器を取る。  剣を振り、槍を突き、戟を払う。  何度も繰り返して体が目覚めるのを待ち、武器の刃先が納得のいく軌跡を描くようになると、持っていた武器を置いて、弓を手に取り矢を番えた。  呼吸を整え、視線を離れた場所にある的に向ける。  そのまま、待つ。  すると、自分と的の間に細い紐が通ったような感覚が訪れる。  その時に指を離せば、絶対に外すことは無い。  そんな確信めいた何かが訪れる。それを捕え、指を離す。  放たれた矢は、張均が思い描いたとおりの進路をたどり、的の真ん中に突き立った。  それを、十度、繰り返す。  弓を下ろすとともに夜着を脱ぎ、庭にある井戸の水を汲んで頭からかぶった。  その頃になると、妻が起きていて、朝餉の支度も終わっている。  妻が縁側に出て来て渡してくる手拭いを受け取りながら、張均は笑顔で礼を言った。
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