21人が本棚に入れています
本棚に追加
素敵な気持ち
◆ ◆ ◆
「──と、いうワケで。私達は産まれた瞬間から、肉体に魔法細菌と呼称される細菌が寄生します。原則としては、一個体につき一種類ですね。この細菌は個々に異なり、それぞれが独自の精霊骸の分解作用を持っています。魔法細菌は宿主の潜在的な精霊骸を摂取し続け、宿主が死ぬまで共存します」
『講堂』と呼ばれる場所で十人程の少女達が、教師役を兼任する中年の修道術師の講義に耳を傾けていた。
通常の学術院と大きく異なるのは、全面が吹き抜けになっているという点である。
天井は巨大な樹の葉枝が覆い、足元には草花が生い茂り、壁面は草むらと蔦の絡んだ木の幹で目隠しされていた。
極め付けに、直ぐ側を小川が流れている。
つまりは、森の一角を開いて出来た野原の上に、机と人間を並べただけの『講堂』なのである。
「魔法細菌は外部からのあらゆる細菌や感染症、有害物質から宿主を守ろうと働き、また他の魔法細菌の侵入を阻もうともします。そして、この魔法細菌の特性を熟知し、操作。地表に蓄積した精霊骸を分解し、集約する事で、魔法は発現します。その力を使える事こそが、修道術師に成る為の最低条件です」
最初のコメントを投稿しよう!