素敵な気持ち

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素敵な気持ち

 ◆ ◆ ◆ 「──と、いうワケで。私達は産まれた瞬間から、肉体に魔法細菌(フローラ)と呼称される細菌が寄生します。原則としては、一個体につき一種類ですね。この細菌は個々に異なり、それぞれが独自の精霊骸(マナ)の分解作用を持っています。魔法細菌(フローラ)は宿主の潜在的な精霊骸(マナ)を摂取し続け、宿主が死ぬまで共存します」  『講堂』と呼ばれる場所で十人程の少女達が、教師役を兼任する中年の修道術師(シスター)の講義に耳を傾けていた。  通常の学術院と大きく異なるのは、全面が吹き抜けになっているという点である。  天井は巨大な樹の葉枝が覆い、足元には草花が生い茂り、壁面は草むらと蔦の絡んだ木の幹で目隠しされていた。  極め付けに、直ぐ側を小川が流れている。  つまりは、森の一角を開いて出来た野原の上に、机と人間を並べただけの『講堂』なのである。 「魔法細菌(フローラ)は外部からのあらゆる細菌や感染症、有害物質から宿主を守ろうと働き、また他の魔法細菌(フローラ)の侵入を阻もうともします。そして、この魔法細菌(フローラ)の特性を熟知し、操作。地表に蓄積した精霊骸(マナ)を分解し、集約する事で、魔法は発現します。その力を使える事こそが、修道術師(シスター)に成る為の最低条件です」  
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