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第五樹
吊り橋を渡って夜営をし、ノルンとロウは朝を待って行動した。
とても話が出来る雰囲気ではなかったので、軽食を取って早めの就寝となったのだ。
「ロウさん、おはようございます」
「おはようノルン君。良く眠れたか?」
「はい、お陰で。あの、き、昨日は……どうも……」
モジモジと俯いて言い淀み、早速ノルンは頭から湯気を立ち上らせる。
ミアが「何自爆してんの?」と茶化した。
年頃の少女の心境の変化には非常に疎いロウが、笑いながら採ったばかりの果実を口にする。
「まあ、気にするな。昨日はたまたま僕の力が役に立っただけさ。この先は、君の力が必要になるだろう。その時は、遠慮無く頼らせて貰うよ」
「……っ、は、はい! 頑張ります!」
(張り切り過ぎて、落っこちないでよ?)
と、ミアが結構縁起でもない事を言って釘を刺した。
ノルンもロウと共に果実を口にし、出発の準備を始める。
必要な栄養と水分を効率良く補給出来る果実類は、森の至る所に数種類実っており。
教会が定めている森林法にも違反しない為、軽食等には最適であった。
「うん。出発前に、今後の進路について説明しておこうか」
ロウは地図を広げ、指を置いた。
「僕達が今居るのが、この森の第二樹の入口辺り。此所から更に森を進んで、第三樹を目指す」
「あの。その第二樹、とか……何なんですか?」
「森に入った時に少し触れたが、この森は五本の神暦樹から形成されている群生地だ。しかし、一つの森として扱うには規模が広過ぎるからな。神暦樹五本に対して番号が割り当てられ、各国家政府は管轄下にある神暦樹を担当して管理しているんだ」
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