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何も知らない
旅は比較的に順調であった。
第二樹を無事に通過したノルン達は、第三樹の吊り橋を渡り、到達した第三樹をいよいよ下り始めていた。
このまま森を抜けると、直ぐに湖に辿り着く事が出来る。
半分程度進んだ所で日が落ちた為、ノルン達は夜営を行う事にした。
もうすっかりロウとも打ち解けている様子のノルンは、雑談しながら夜営の準備を手伝っている。
(ちょっと、ノルン? あんまり浮かれない方が良いと思うわよ?)
ロウから離れ、ノルンが一人で薪を集めた時を狙ってミアが話し掛けた。
ノルンは枯れ枝を慣れた手つきで選別しながら首を捻る。
「え? 浮かれているって?」
(ロウの事よ)
「ロウさん……?」
(気になってるでしょ、アイツが)
「……っ!?」
集めた枝を、ノルンは半分取り落とした。
反論しようにも、その通りなので何も言えない。
以前、他の候補生達が洞窟の温泉で話していた事が今なら理解出来るかも知れなかった。
(まぁ、ノルンが意識しちゃうのも分かるわよ。格好良くて、気配り出来て、博識で。少し言葉に棘が有るけど逆に裏表無さそうで。真面目で優しくて、度胸も有る。おまけに、肩書きまで凄くて将来安定)
「う、うん。肩書きとかは兎も角だけど。……か、格好良いのは、そうかなぁ……なんて」
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