何も知らない

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 普段、余り感情的にはならないのだが、心の底に積もっていた想いが溢れて出て。  気が付いたら叫んでしまっていた。  今までのロウの行動や思いが、否定されているようで。  それが我慢出来なくて。 「──そんな事を言われたのは、初めてだよ」  ロウが笑った。  この旅で見せた中で、一番の笑顔で。 「あ、え、あの。す、すいません。勢いで」 「ありがとう、ノルン君。……そうか、僕は……」 「あのっ! 明日も早いんで私もう寝ます!」  そう叫んで、ノルンはロウから弾かれたように距離を取り、落ち葉で作った寝床に横になった。  ロウに背中を向けて丸くなるノルンの顔は、火を吹いたように真っ赤になっている。 (……好きじゃん) 「ミ、ミアが変な事言うから」 (ううん。あんな事言えるなんて、好きよ) 「わ、私もう寝るからね」  ノルンはそう言っだが、勿論直ぐに寝付ける筈も無く。  次の日の朝には、久しぶりの寝坊をやらかすのだった。  ◆
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