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「あの階段。本当は滝の上まで続いていたんだ。だが、雨で急激に増えた水量や風に耐え切れなくなり、結局は半月程で倒壊したらしい。それに伴って、湖畔街道の安全性や管理責任を教会支部が嘲笑うように追及した。その審問は厳しく、遂には周辺国との睨み合いにまで発展した為、総本山である教会聖堂が事態の収拾に動いたらしい。それから暫く経って、教会側が改めて湖への経路を開拓し、湖畔街道は旧道として扱われる事になったんだ」
「つまり、自然物のように回復する見込みが無い、放棄された道という事ですか……」
「ああ。これまでのように安全に身を任せられる場所は限られている。しかし、上手く行けば堕天者との接触を回避しつつ、最短距離で湖へ到達出来るかも知れない」
ロウは靴を履き直して立ち上がった。
軽く背伸びをした後、装備を整えてから岩から降りた。
慌ててノルンも靴を履いたが。
「君はまだ休んでいてくれ。安全に旧道に上がれる場所を見て来る」
言い残し。
ロウは一人、旧湖畔街道へと向かった。
(ノルン、悪いんだけどさ)
「うん、何?」
(今回ばかりは、危なくなったら即交代。安全圏に入るまでアタシが移動するからね? ……さっきのロウの顔、見たでしょ)
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