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『たとえばそこにいるだけで』
聖王暦二九八年。十六年の長きに渡ってシャングリア大陸を支配していた、グランディア帝国の恐怖の絨毯に、刃を突き立てる者が現れた。
エステル・レフィア・フォン・グランディア。
帝国が王国だった頃、あらゆる国と種族の融和を目指して、矛盾と誹りの雨を被りながらも、対話を諦めなかった『優女王』ミスティ・アステア・フォン・グランディア。その血を受け継ぐ、正統なグランディア王族の後継者である。
北国ムスペルヘイムで反抗の狼煙を上げた解放軍は、協力者の数を増やしながら、大陸各地を帝国の支配下から解き放とうと進軍を続ける。
『悪夢から呼び覚ましてくれる英雄の卵』
『大陸を今の状況に追い込んだ悪女の娘』
正反対の評価が彼女に降るが、エステルが歩みを止める事は無い。
たとえそれが、誰かの不幸に繋がるとしても。
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