460人が本棚に入れています
本棚に追加
/50ページ
「真那ちゃんに聞いてた通り、楽しい人ですね」
「真那ちゃんにも会いたい!どうして今日来てないの?」
「あ、それは…」
「僕が二人で話したいって言ったんだよ」
なんで?と見上げる笑子の頬をするりと撫でた美秀の手が握られテーブルの上に置かれる。
「軽い気持ちで付き合ってるんじゃないよね?」
きた。
風我は美秀の目を真っ直ぐに見つめて頷く。
「とても大切に思ってます」
美秀も頷き、二人がそれぞれ飲み物に手を伸ばした時、一瞬だが黙って聞いていた笑子がハイと右手を挙げた。
「具体的にどう大切にしてるの?」
「ぐ、たいてきに、と…」
「例えば二日続けてしないとか?一回で我慢してるとか?」
「は?」
「笑子、君はすぐソッチに話しを持っていかない。妹のそういう話しは聞きたくないし…」
聞かれた意味をようやく理解した風我が小さく咳払いするとああでもないこうでもないと話していた二人が揃って風我の方を向いた。
「大事にしたいんで、そういうことはまだしてないんだ」
「「えっ!?」」
二人の驚いた声に風我も目を剥く。
「付き合って二ヶ月くらい経つんじゃなかった?」
「一緒に住んでるのに!?あり得ない!」
「いや、あり得なくもないよ、健全でいいよね」
「あのね、布施っちにも言ったけど、触れないことが正義じゃないからね!すぐ手出されても続けば愛だし、大事にするからって手出されなくても遠距離ならともかく毎日側にいるなら謎でしかないから!」
風我のキョトンとした顔を見て笑子がきっと目を細める。
「真那ちゃんに魅力がないの?あんな可愛いのに」
「いや、めっっっっっちゃくちゃ可愛いです!!」
「色気がないとか?」
「いえ、それも十分すぎるほどあります!」
「いや、あのちょっと……」
「布施っちは黙ってて。じゃあなんでしないの」
笑子の勢いに呆気にとられる美秀をちらっと見てから風我は躊躇いながら口を開いた。
「俺、真那ちゃんと出会う前割とその………適当に適当な人と…その…」
「セフレしかいなかったってこと?」
「あの……まぁ……すみません」
「それが?」
「すぐそういうのしちゃうと真那ちゃんも同じって思うんじゃないかと思って、真那ちゃんは違うし、だから」
「ばっかじゃないの!?」
「あの、笑子、」
「これまで抱いてきた子達と同じように真那ちゃんを抱くの?」
「え、いや、それはないです!!」
「大事に大事にするんでしょ?反応見ながら確かめながら大事に大事に」
「それはもちろんです!!」
「でもさ、しなきゃ真那ちゃんにそれ伝わんなくない?」
ら
「あ………」
言葉でどれほど伝えても伝えきれない思いがあることは風我にもわかる。
真那に対する好きという気持ちや大事にしたいと自我を抑える気持ち。
簡単に触れてはいけないとも思っていた。
それが真那に対する誠意だと思い込んでいた。
「好きならしたいじゃん。それは男も女も同じだと思うよ」
笑子がにこっと笑って美秀にねーと言うと美秀もうんと頷く。
「もうさ、めんどくさいから書いといてくれない?お臍あたりにさ。ぼくは臆病だし大事にしたい派だからしばらくしませんとか、おれは好きなら触りたい派だからすぐ手出すけど遊びじゃありませんとか」
「なにそれ。ちゃんと言えば済むじゃない」
「布施っちわかってないなぁ…探りたい時期があるんだよ。笑子は一瞬だけどねー」
「そういやそうだったね」
顔を見合わせて笑う二人を前に、風我の思いは真那と暮らす部屋へ駆け出していた。
※笑子が登場するとぐんと話しが動きます。
雪原も笑子大好きです♡
笑子を愛でていただけてとても嬉しいです!!!
最初のコメントを投稿しよう!