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熱くなった身体、二人の吐く息までも熱く湿る。
風我と繋いでいない左手を風我の頬に伸ばしそっと触れた。
触れてもらうことも触れることもとても尊い。
この人ならと許し許されることが嬉しい。
頬から顎、顎から首筋に真那が指先を滑らせていくのを風我は目を閉じてされるがままにしている。
この人の身体のどこなら、他の人が触れたことがない場所があるのだろうか。
あるのなら、そこに触れたい。
ないのなら、自分が触れて上書きしたい。
「………すき」
思わず溢れた小さな告白に、風我がゆっくりと目を開け微笑む。
「俺も好きだよ」
「……うん」
どちらからともなく顔を傾け、再び唇が重なった。
今度は風我の手が真那に触れる。
頬を包み、髪を撫で、耳朶を揉む。
ぬめる物が入り込んできてもさっきほど驚かず、消極的にだが風我の舌に応えることができた。
こんなにたまらない気持ちになっているのは自分だけだろうか。
もっと深く触れ合いたくて、もどかしいのもなんとなく好きで、いくら絡めても足りないと求めてくる風我が嬉しくて。
重たく感じる腰をもぞっと動かしたら、口内から風我の舌がするりと出ていって追いかけるように少し出した真那の舌先から光る糸が風我の舌に繋がっていた。
再び戻ってきた唇がちゅっと音を立て糸を吸い取ると、風我が腕を回して抱き締めてきた。
「もっとずっとしてたいんだけど、ちょっと、あの」
「……なに?」
「我慢限界で…」
「限界?」
「えと、勃って、て……その」
「ぁ………」
なんて返していいものか悩む真那を風我がぎゅっと強く抱き締めた後名残り惜しそうにゆっくりと離した。
こつんと額をぶつけた風我はふうと息を吐いてから真那の名をゆっくりと呼んだ。
「も少しさっきのキスに真那ちゃんが慣れたら……抱いてもいい?」
熱を宿した薄く濡れる目に見つめられた真那は、小さく首を縦に降ろすことしかできなかった。
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