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「それより、髪どうしたの?」
最寄り駅まで向かう二人の手はまだ繋がれたまま。
離してと言った真那に、風我は久しぶりだからもう少しと強請った。
「あ、これ?実習近いから染めたぁ」
「実習?」
「あれ?言ってなかったっけ。俺幼児教育学科」
「え?」
「保育園の先生なるの」
「ほ、保育園?」
「そうだよー」
握った大きな手、指をギュッギュッと力を込めながら風我が笑う。
「帰ったらどんぐりころころ弾いてあげようかぁ?」
「ふふ。じゃあご飯は私が作る」
「じゃあオムライスがいい!」
「はいはい」
「タコさんウインナーつけてくれる?」
「ふふっ。はいはい」
「やったぁ!真那ちゃん大好き!」
無邪気で可愛いふうちゃん。
いつの間にか守ってくれるほど大人になった。
期間限定の同居、隠せるものは隠していたい、そう思っていた真那。
知られたくなかった彼との別れを、風我は一蹴し吹っ切らせてくれた。
ずっと強ばっていた身体からようやくいらない力が抜けた。
二人の同居は、まだ始まったばかり────────
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