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終わりの果てに
「弥生…」
まだ弥生はクスクスと笑っている。
「さあ、これからどうするつもりだ?」
「弥生から離れろ…」
「そうか…お前は恐ろしいいのだな」
「は? 何を言っているんだ」
「こうすれば、お前の恐怖はさらに増すのではないのか」
弥生はそう言うと、隠し持っていたナイフで自分の左手首を軽く傷つけた。
「止めろ!」
街灯に照らされた弥生の左手首からだんだんと血が浮かび上がってくる。
「おお…その顔だ…私が見たかったのは」
さらに不気味な笑みを浮かべると、ナイフで自分の左手の手のひらを突き刺した。
「やめろおおおおおおおお!」
「ふふふ。どうだ? 悔しいか? これもこの女がこうなったのはお前の所為だ」
「あああああ…」
突き刺さったナイフを抜き取ると、弥生の手のひらから血が溢れ始めた。
「怖いか?」
「もうやめてくれ…」
「ははは! 今度は首をこれで傷つけたらどうなるかな?」
首? 今弥生は首と言ったか?
「ショックのあまりうまく聞き取れなかったか?」
弥生はナイフの腹で自分の首を二度叩いた。
「ここを切れば、お前は私にどういう顔を見せてくれるのだ?」
「ああ」
頭がまっ白になった。
死神がやろうとしていることがわかったからだ。
「やめてほしいか?」
「え?」
「やめてほしいかと聞いているのだよ」
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