ししえりのいえ -呪われ代行・荊禍栖2-

【ログ③】

　今日の地味子は珍しくスカートを穿いていた。いつも地味なズボンだったから、本当にマジで珍しい。スカートの丈も色も地味だったけど、その地味さがむしろいい。地味子の良さを知っているのは世界でただ一人、俺だけだ。
　ただ、最近やたらと目につく男がうざい。最初は見逃してやってたけど、そろそろ俺も切れそうだ。考えたんだが、もしかして地味子はあいつから逃げたくて俺にサインを送ってるんじゃないか？　正直、その可能性が高いと思うんだが。そうなると俺は地味子をあの家から助け出さないといけないって話になる。これは結構しんどそうだ。何しろ念密な計画と準備が必要になる。
　地味子にも相談したいが、あの男が邪魔をしているんだろう。最近はあまり窓を開けなくなった。仕方なく双眼鏡で部屋の中を定期的に視線巡回している。

≫釣り乙。つか文章くさすぎ。
　文章が下手なのは仕方ないと思ってくれ。釣りじゃないが、釣りだと思うならそれでもいい。俺はただ記録の為にここに書き込んでいるだけだ。

≫まずは文通から始めてみたら？
　天才か。その手も考えてみよう。でも隣の家はマジで特殊だから、地味子だけに手紙を届けるのはちょっと難しいかもしれない。家に入る瞬間を狙えばいけるかもな。