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3.真相
それから半年程経ったある日曜の朝、実家からの電話で目が覚めた。こんな時間にどうしたんだろうと布団の中で慌てて通話ボタンをタップする。
「もしもし、母さん?」
「あ、ごめんまだ寝てた?」
大丈夫、と言いながら体を起こし「どうしたの?」と聞くと少し興奮した様子でテレビ見て、という。枕元に置いたリモコンを操作し言われたとおりのチャンネルに合わせて驚いた。「あれ、ここって……」
テレビに映し出されているのは実家の建て替え工事の際に住んでいたアパートのすぐ近く。アパート自体もチラチラと映っていたがニュースになっているのは別の建物のようだ。あれは……。
「かなえちゃん家?」
当時の記憶にあるよりも随分汚れて廃屋みたいになっているが間違いない、あれは彼女の家だ。
「やっぱりそうよね。あなたが小林さんって言ってたからひょっとしてって思って」
テレビには〝床下から白骨化した遺体!〟という赤文字踊っている。それってまさか。キャスターが淡々とニュースを読み上げている。
――遺体はこの家に住んでいた小林かなえさん、当時九歳と思われ……。
嗚呼、やっぱり彼女は虐待されていたのだろうか。
「母さん、私あの時家に行ってあげればよかったのかなぁ? そしたら何か気づいてあげられたかもしれない」
可哀想なことしちゃったな、と後悔する私に母は「あなたも子供だったんだし仕方ないわよ。そんな風に考えるのはやめなさい」と慰めてくれた。それでもあの時誘ってくれたんだから家に入れてもらえばよかったという後悔は消えない。どうしても気になってしまい私は続報を追った。せめてあの後彼女に何があったのか知っておいてあげたいと思ったから。だが知れば知るほど胸糞悪くなる話だった。
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