ウリ専

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ウリ専

「おはようございます」 「おはよう将ちゃん、今日もう予約入ってるよ~」 「あっそ」 「相変わらず素っ気ないね」 「愛想良くする必要ある?」 こんな俺の態度にスタッフも呆れ顔。 だけど別にこの人達にいい顔したって、給料が上がる訳でもない。 うんざりしながら指名リストを見ると、そこにはいつもの男の名前が記されていた。 「あっ、ねぇ…またこの人、俺指名なの?」 「気に入られてよかったじゃん!どんどん金使わせてね!」 「いや…なぁ、こいつさ…」 「じゃっ、今日もよろしく~」 俺の話を、強制的にぶった斬ってバックヤードに戻っていくスタッフ… そもそもボーイが少ない中、めんどくさい客に関していちいち対応はしたくないのが現実なのだ。 この客は最近俺をやたら指名してくるリーマンで、かなり強引なプレーばかりしてくるから、俺はこいつの相手が苦痛で苦痛で仕方なかった。 スタッフや他のボーイの負担を増やしたくなくてずっと黙ってたけど、そろそろ限界かもしれない… 個室でスタンバイしながらため息をつけば、扉が開き鼻息を荒くした奴が入ってきた。 もうその顔を見た瞬間から全身が粟立ち、完全に嫌悪感しかない。 だけど、そんな俺の態度も向こうにとっては興奮材料にしかならないから最悪だ… 「おら、咥えろっ」 「んぅ"…っ、ぐ…」 髪を鷲掴みにされ、喉奥にまで突っ込まれて全く息ができない…っ。 意識が飛びそうになるギリギリで気道が確保され、思いっきり酸素を吸い込めば生理的な涙が溢れて、それを見て奴はニヤリと笑う。 そして休むことなく後ろに突っ込まれ、平手で叩かれながら力任せに突かれる。 これを時間いっぱいまで耐えなければいけなかった。 そして長い長い1時間が経過してやっと開放された俺は、もうその日はさすがに次なんてできる訳もなくて、スタッフに無理を言ってお店を後にした。
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