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新しい生活
あれから数日が過ぎ、俺らの同棲生活が始まった。
とは言え、元々一緒に住んでたような時もあったから特に前と変わる所もないけれど、将吾の帰る場所はもうここだけで、将吾の荷物や家具家電も全てこの家にある状況はやっぱり少し新鮮だ。
それに何より、朝目を覚ませば隣で眠る将吾の寝顔をまた見る事が出来るのが何より嬉しかった。
でも、本当はまだ心のことが好きだったりしないかな…?
寂しいから俺のところに来ただけとかじゃないよね!?
なんて最初は思った事もあったけど、荷解きを手伝えば以外と心の物より俺との想い出の物が出てきたりして、やっぱり俺のこと好きなんじゃね?なんて口元がずっと緩みっぱなしだった。
まぁ、どんなつもりであろうと俺は絶対に離すつもりはねぇし、かなり時間かかっちゃったけど、これからずっと一緒なんだって思ったら朝から興奮してきちゃった。
「んふっ…しょぉ〜ごぉ〜」
俺に背を向け丸くなる将吾を後ろから抱きしめると、ビクッと体を震わせゆっくりと俺の方に向き直る。
「ん…も朝?」
「うん…朝だな」
「もうちょい寝たい…」
「俺はイチャイチャしたい♡」
「んぇ…?昨日したじゃん…」
「昨日は昨日、今日は今日ぅ…」
「ちょっ、だめっ…!あっ♡」
「いいじゃん…触るだけだから…」
「触るなっ…おいっ!ばかっ…んふ…っ」
朝からから将吾くんのトロ顔堪んねぇ…
俺本当幸せ…♡
「なぁ、そういや覚えてる?一番最初にエッチした日の事」
「なっ/////覚えてねぇよっ、そんなんっ…」
「えー忘れちゃったのぉ?ショックなんだけど…」
「わっ、忘れて…ない…けど…////」
「あはっ、忘れてないんじゃんっ…あん時さぁ、俺に嫉妬して抱いてくれってお前からせがんできたんだよなぁ?」
「ちがっ、そんなんじゃ…っ、んぁっ、やめ…っ」
体を捩らせ俺の手をどかそうと頑張ってるけど、本当に止めさせるつもりある?
顔は真っ赤だし、さっきより吐息が甘いんですけど?
「えーちがうの?」
「あっ、あの時は…っ、ちょっと興味あっただけで…っ、ん…っ」
「そーだったのぉ?ショックぅ…」
「おっ、お前だって俺じゃなくても良かったんだろっ!?」
俺のことを睨みつけながら、はぁはぁと息を漏らす将吾。
俺は触っていた手を引っ込めて溜息をつき、何ももわかってねぇ将吾に、結構まじなトーンで話し始めた。
「そんなことねぇよ。俺は最初からずっとお前だけ見てたよ」
「は?だって…女とかっ、先生とかっ…お前色んなやつに手ぇ出して…俺の事だって生徒としてって…」
「そんなの建前にきまってんだろ?それにマジになったらダメと思ってたから抑えんの必死だったんだぞ?」
「でもっ、じゃあなんでっ…」
「そうだよな…色々言いたいこと沢山あるよなぁ…。てか今までちゃんと話しした事なかったんだな…俺ら…」
「うん…そう…だな」
思えばあの頃はまだ子供だった将吾に、俺の事気持ちを伝えるなんて事は出来なくて、はぐらかしてばかりだったから、素直に気持ちを言えたのは再会を果たして暫くしてからだったか。
俺は俺なりに、大人としての立場をわきまえて接していたつもりだったんだ。
そして結局そんな自分の都合を優先した結果、将吾に辛い思いをさせたこともあったし、こんなにも遠回りしてしまった。
再会を果たした後だってすれ違ってばっかりで、お互いを思うあまり素直になれなかったんだ…
俺がいつからどれだけお前のこと思ってたかなんて、話したこともないのにお前にはわかるはずもねぇよな。
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