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ラブリ
「わかりました。今すぐに交換してくださいとは申しません。充分に熟慮してください」
今日のところは龍宮寺たちも素直に引き下がるようだ。
「考える必要などないわ」
だがラブリは彼らをあざ笑った。
「えッ?」なにを言い出すんだ。
「ショーとラブリは、誰にも引き離せないくらいしっかり結びついているのよねェ」
彼女は馴れなれしくボクの腕に自らの腕を絡めてきた。
「痛ッ、結びついているんじゃないだろう。それは関節を取りにきているんだろう」
このまま一気に腕を絡め取って、関節技へつなげる気だ。腕十字か、チキンウイングアームロックを仕掛けるつもりなのか。なんとか懸命にブロックした。危なくて仕方がない。
「では今度は契約書を持参しますので、ぜひともご検討ください」
そう言うと龍宮寺たちは引き下がった。
「いいえ、何度、こちらへいらっしゃっても答えは同じよ」
決してラブリも譲ろうとはしない。
「愛情とは愛する人を幸福にすることなのよ。ラブリに取ってはショーを幸せにすることが愛なんだから」
ラブリは胸を張ってみせた。
「ううゥ」マジか。
果たしてボクは毎日、ラブリに関節技で痛めつけられて幸せなのだろうか。
「では失礼」
龍宮寺らは憮然とした顔で家を後にした。
「ン」なんとなく複雑な気分だ。
「良かったわね。ショー」
ラブリはニコニコしてボクに微笑んだ。
「ううゥン」ボクは考えながら唸った。
これで本当に良かったのか。
それとも悪かったのか。すぐには判断できない。
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