第六話 雑煮

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「出張って年始からのやつだよね。ってことは、私のルームシェア話の間もずっとそれ話したかったんじゃない? ごめん、いつも自分のことばかりで」 いつも聞いてもらうばかりで、響の話を聞けていなかった。前に仕事が忙しくて恋愛してる余裕ないって言ってたから、その手の話題があるとは考えが及ばなかった。でもあの話をしたのも考えたら半年くらい前か。 「いや、そこは大丈夫。付き合うことになったのは最近だから。私がこっち戻って会えなくなって、気持ちがわかったというか」 「おー、そうなんだ! 詳しく聞きたい! あれ、でも響って遠恋は嫌なんじゃなかった?」 響は学生の頃から、すぐ会いたくなるから遠恋は無理と何度も言っていたのだ。 「そうなんだけど、オンラインの時代だし、私もどうせ出張多いからあちこち行くし。それになんか和紗見てたら、ちょっと慣れないことに挑戦してみたくなったんだよね」 響はふふっと笑って私を見た。 「どういうこと?」 「だって、ルームシェアして楽しそうじゃん?」 「楽しそう?」 「うん、なんかすごい楽しそう。和紗ってそういうタイプじゃなかったから実は少し驚いてる」 「確かに私、そういうタイプじゃないもんね」 言いながら自分で笑ってしまう。本当に私が誰かと暮らすことを真剣に考える日が来るとはびっくりだ。 「だからさ、苦手って突っぱねるんじゃなくてさ、飛び込んでみるのもありかなって」 「同感。私も飛び込んでみて良かったと思ってるもん。挑戦大切」 「だよね。だから遠恋も楽しむ!」 「良いね、頑張って」 「うん、和紗もラスボス攻略頑張って」 せっかく飛び込んでみたんだから、できるところまでやってみよう。 幸せそうな顔をしている響を見てそう思った。 そこからは響の馴れ初めを聞いたり、食べたお餅のことを話したり、サイン本を渡したりして、遅くまで楽しい時間を過ごした。
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