第六話 雑煮

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そういえば来週の火曜日はバレンタインデーだ。月曜日に会うなら、チョコレートでも用意しておくほうがいいかもしれない。 お世話になったから単純なお礼で、友チョコならぬ餅仲間チョコ? そうだ、せっかくならチョコの入った大福にしよう。一緒に食べられるから深い意味にもならなくてちょうどいい。 問題はどこのチョコ大福を買うか。大福は日持ちしないからその日に買うべき? でも仕事の後だったら遅くなるし。冷凍のものをお取り寄せしよう。 ちょうど気になってたお店を見つけていたので、すぐにサイトを開いて購入する。日曜日に届くように手配した。 月曜日、結城さんとは19時に約束をしている。ただ、約一週間ぶりの訪問は、少し様子が違っていた。 「すみません、少し散らかっていて」 汚れているというわけではないけど、資料らしきものがリビングに置かれていて、なんとなく片付いていない感じがした。 「お仕事は大丈夫でしたか?」 「はい、ちょっと確認が追加になったのですが、さっき無事に終わりました」 「え? さっきですか? すみません、お疲れのところ」 「いえ、それは大丈夫です。ただ、夕食の用意がまだなので、これから作ろうと思ってるんですがいいですかね? 最後に食べ損ねた力うどんはいかがかと。すぐ作れますし。あと、餅が食べたいです」 これを聞いて結城さんが私と一緒にいるメリットは本当にあるんだなぁと思ってしまった。 「私もお手伝いします」 「では先に作りましょう」 キッチンはとてもきれいだった。というか、数日使ってないのでは?という感じもする。 「結城さん、ちゃんと食べてました?」 心配になり尋ねる。 「カロリーは摂取してました」 「その言い方……」 一体何を食べていたのだろう。前回来た時の食事の様子からは何も想像できない。 「今日はちゃんと食べます」 そう言って結城さんは手を洗い、準備を進めている。
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