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「そうだ、私、チョコ大福持ってきたんです。明日バレンタインなので、チョコにしてみました。これ、食べてみたかったものなんです。冷蔵庫に入れておいてもいいですか?」
「ありがとうございます。チョコ大福か……」
「どうかされました?」
考え込むような口調だったので、何事?と思い、立ち止まる。やっぱりチョコレートは良くなかったかな。そういう意図は全くないけど勘違いされてしまったのだろうか。
「いや、ずんだ餅があるんです。さっき打ち合わせで担当が持ってきて」
完全に予想外の言葉だった。
「ずんた餅……ですか? ええと、それは冷凍ではなく?」
「はい、今日出張から戻ってきたそうで……」
「チョコ大福も冷凍のものを解凍してしまっていて……」
チョコを変な意味で捉えられてなくてよかったと安心しつつ、うどんの餅、チョコ大福、ずんだ餅となると、なかなか重いものが揃っているなぁと胃を心配してしまう。
「では、うどんを食べながらずんだ餅を食べて、その後コーヒーとチョコ大福、という組み合わせはいかがでしょう」
しかし私の心配をよそに、結城さんはさらりと言った。
「盛りだくさんですね」
「割と空腹なので大丈夫だと思います」
「ちなみに、ずんだ餅は食後じゃなくていいんですか?」
「うどんのだしとずんだの甘さが合いそうな気がして。でもチョコ大福はコーヒーに合わせたいなと」
「確かに」
なんとなく、美味しそうなのが想像ができる。
「食事の時は緑茶にすればぴったりです」
楽しそうにそう言うのを聞いて、食の趣味が合うのは素晴らしいことだなぁと改めて思った。
こうしてまずはうどんを作り、そしてずんだ餅と共にいただいた。念のため私はうどんを減らしてもらった。結城さんは空腹と言っていたとおり、なかなかの食べっぷりで、今日の本題は食後にすることにした。
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