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なれるものなら、餃子になりたい。
そう思いなが、わたしは「ギョーザ」にくるまる。
「ギョーザ」は薄手の毛布の名前だ。
餃子の皮のような色だから、「ギョーザ」。車屋かどこかで貰ったものだ。
ギョーザはわたしの持ち物の、お気に入りのひとつだ。
軽くて、柔らかくて、辛い時も嬉しい時も、小さなわたしを包み込んでくれる。
わたしはよく、ギョーザに包まれる。
ギョーザは部屋の明るすぎるLEDライトから、わたしを守ってくれる。何もしたくない日に、ただ呆然とする場所を提供してくれる。皆が寝静まった夜、わたしの泣き声を小さくし、優しく涙を拭ってくれる——。
あぁギョーザ、わたしの大事なギョーザ。
今夜は冷える。だからギョーザに包まる。そしてきっと、餃子の物語を生成する。
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