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反抗の夜の思考
もうわたしは帰らない。ご飯も食べなくてよい。大人たちから解放されるのなら……。
早起きをして、学校で全てを管理されて、日が暮れてから帰宅する。それが週に6日だ。自分の時間なんてない。
「誰だってそうなの、学生はそういうものなの」
生まれた時代の違う人に言われても……。誰もわたしのことを分かってくれない。
わたしは孤独で、模範的なティーンエイジャー。
あぁ、なれるものなら、餃子になりたい。
塩顔のお兄さんに焼かれ、その様子を見かけた子供に「あれ食べたい!」と言われたい。そして8個300円で買ってもらうの。
子供はお店の前でパックをあけて、ぷよぷよしたビニールのお醤油をかけて、口を大きく開ける。美味しい餃子を楽しみにしている。
しかしいざあーんとした時、餃子はコロンと地面に落っこちてしまう。それを子供が拾おうとすると、お母さんに「そんなもの拾うのよしなさい」と怒られる。子供は少しがっかりするも、次の一口に移る?そしてそのまま放置。
しばらくして、拾いに来る人がいる。店員さんだ。ちりとりと箒をもって、店前を掃除する。
砂や短くなったタバコと一緒に、ゴミ箱に捨てられるのだ。
あぁ悲しいね。でも今はそれが、望ましいんだ。
涙が溢れた。わたしはギョーザを被り、まるくなる。
部屋の明かりも家族の声も、薄らいだ。きっと外の世界からも、わたしの泣き声や震え、存在が薄らいでいる。
わたしは孤独な餃子。光の届かないところを目指して、眠りにつく。
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