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始まりは初詣だった。
悠太とわたし、それぞれの母親たちで近所の神社にお参りに来ていた。背の高い悠太は周りから頭ひとつ飛び出ていて、待ち合わせでもすぐ見つけられた。
ちょっと大人っぽいダークグレーのコートが似合っていて、人目を引く。うっ、カッコいい。
そのまま参拝の列に並んで、手を合わせる。
(昨日の夢が正夢になったら嬉しいのにな。悠太に姫抱っこされたりとかときめいちゃったよーーあぁ、"羽根みたいに軽く"なりたいよ)
ーーおめでとうございます!!
「えっ」
頭の中に響く賑やかな声。
けれど、隣の悠太たちは何にも気にせず、じっと目を閉じて真剣に祈ったまま。
(えっ、これわたしにしか聞こえてないの??)
ーーなんと今年のご参拝者から抽選で一名に神さまならの祝福! そのご当選者さまの願いを1つだけ叶えました!
ということで。ただいまお嬢様を"羽根のように軽く"させていただきました!
(…………)
ーー……あのぉ?
(なにこれ…)
ーーですから、神様からの祝福のお届けでした! それではこれにて、
(クーリングオフで!)
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