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すぐに後ろから勢いよく肩を組まれて転びそうになる。
「ははっ!ライは冒険者だとよ!」
「マジか!お前、転ぶか、泣くか、逃げるじゃねぇの?」
「剣は持てるか?道はわかるか?」
「やめとけ!ケガするだけだぞー」
酒場に出入りする先輩冒険者たちはガハハッと笑ったり、俺の頬を突付いたり、哀れんだ目を向けてきたり。
どいつもこいつもバカにしてくる。
「リックさんもミリアさんも心配だって!ライも商業者ギルドにしてこの店を手伝えばいいじゃん?」
隣に座っていた幼なじみのルイにまで言われて俺は頬を思いっきり膨らませた。
慣れたようにそこに指を突き刺されてすぐにブシュッと潰れてしまう。
「ルイは冒険者じゃんか!」
「僕は剣の才能があるから」
口を尖らせながら座ると、三ヶ月前に冒険者になったルイは笑いながら肉を手で摘んだ。
もぐもぐと動く口元まで余裕があるように見えてイラッとする。
「リックさんもライに継いで欲しいですよね?」
聞かれて父さんは困ったように笑い、
「ミリアさんもライには店に残ってて欲しいですよね?」
振られた母さんは父さんを見て二人で笑った。
「な?」
「な?って何だよー!!」
ポンポンと頭を叩かれてダンッとテーブルを拳で殴りつける。
みんなにケラケラと笑われて夜はどんどん更けていった。
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