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憧れ
父さんたちの酒場にフラフラと戻る。
扉を開けてすぐのテーブルに引っかかって転ぶと中に居たらしいルイが駆け寄ってきた。
「ちょっ!どうしたんだよ!?」
びっくりしたようなルイにケガはないかと確かめられてその手を振り払ってしまう。
「何?結局、冒険者諦めて商業者ギルドにしたのか?」
「違う」
「ん?」
「俺は冒険者だ!何がEランクだ!すぐにランク上げてやる!」
噛みつくようにパッと顔を上げて喚くと、ルイは肩を竦めた。
無言で手を伸ばして立たされて、カウンターのイスに座らされる。
「……テオに会ったんだって?」
頷くと、ルイはこっちにイスごと体を向けた。
「心配してただろ?」
「うるせぇ」
「僕もそうだったよ」
「……は?」
眉をひそめると、ルイはニシシッと歯を見せては笑う。
「父さんと母さんが死んでテオに引き取られてから、テオは剣を教えてくれなくなったし冒険者の話も聞かせてくれなくなった」
「何で?」
「僕に冒険者になって欲しくなかったんだろ?」
ルイは笑顔を引っ込めてイスの背に凭れかかった。
ギッと揺らしてバランスを崩すことなくまた元に戻る。
俺なら確実に倒れて大惨事だ。
「平和な街でただ笑ってろって……何度言われたかわかんないよ」
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