灰かぶり姫の始動

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灰かぶり姫の始動

 かつて灰かぶりとも呼ばれていた絶世の美女・シンデレラは、ガラスの靴の一件がきっかけで一国の王子に見初められ、自分を虐めた義母や義妹たちとも別れを告げて、王太子妃となったのでありました。  ────というのは、昔の話。  結婚から幾年も後、彼らの間には深い溝ができていたのです。    ✨⌛・・・・・・⌛✨  シンデレラが王子と結婚してから、何年もの月日が流れました。月日が経つとともに、あれだけきれいだった彼女の美貌は鳴りを潜め、日に日に老婆へと近づいていくばかり。  美しくて若い女性が大好きな王子からはだんだんと疎まれ、ついには隣に立つことすら許してくれなくなってしまいました。  王子は、国中から集めた美女を本殿に住まわせていました。たびたびそこへ赴いて彼女らの舞いを見たり、酒をつがせたりなどして楽しむのが月に一度の習慣となっており、シンデレラはほとんど見向きもされません。  特に、ジェネッタという国一番の美女を気に入っており、彼女からの贈り物である青い宝石の指輪を、後生大事そうに、日々身につけているのです。  ──シンデレラと出会わせてくれたんだ。これは僕にとって、大切な宝物だよ。  そう言って自室のショーケースの中に収めたガラスの靴は、とっくに埃を被っているというのに、です。  おかげで、シンデレラはとても不機嫌でした。  彼女は、顔なじみの女召使いに手伝わせて鏡の前で白粉をはたきながら、顔を真っ赤にして憤っていました。
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