灰かぶり姫の始動

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「あーもう、あの面食い男、ふざけんじゃないわよ!人が一生懸命若さを保とうと努力してるのに、それすら無視しやがって!あんなので、一国の王が務まるの?ひと月後には戴冠式だって迫っているのに」  「確かにそりゃ、あの継母のところから助けてくれたにのは感謝してるけど。でも、いつまでそのこと引っ張ってるつもり?ここ最近では、私がなにか言おうとするたびに、『僕がいなかったら今頃どうなってたと思ってるんだい』とか言って口答えできないようにしてくるし・・・・・・」 「ええ、それは苦しゅうございますわね」  側に控えていた召使いが、さも沈鬱な面持ちで頷きました。 「ですが、王子様もきっとシンデレラ様への愛をお忘れになったわけではありませんよ。時が流れ、かつての熱烈な恋が永続的な愛に変わっただけですわ」 「そうかしら」 「ええ、もちろんでございます」   心配そうに首をひねるシンデレラに、召使いは言い聞かせるように繰り返しました。そうしているうちに、シンデレラにも前と同じような自信が再びみなぎってきたのです。 「そうね、それなら・・・・・・あんな女などよりも、私を選んでくれるはずだわ」  シンデレラは、鏡の中でだんだん美しくなっていく自分の顔を眺めながら、そっとほくそ笑みました。      
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