あとがき

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あとがき

あとがきでございます。 本作は、蛸公方さんの書いたシナリオを元にノベライズさせていただきましたものです。 以前にも書きました、「異世界勇者は現代日本でガテン系で働く」という小説と同じコンビです。 ただ、今回は、長編ということもあり、原作者と意見をかわしつつ執筆していきました。 最初は、SNS上で戯れに書き散らかしたようなシナリオでしたので、僕も読んでいただけなのでしたが、だんだんと長くなっていって、「こんなに長いのに、このままにしておくのは惜しいな。作品化できればいいのに。でも本人はその気がないようだし、だいたいこれをコミックにしようとすると、その労力は計り知れないぞ」などと思い、それなら僕がノベライズにしよう、と思い立ったわけです。 小説ならば、蛸公方さんの手を煩わせることもないだろう、と思ったのです。(この思惑は外れてしまったのですが) シナリオを読んで好きなように書くというのは気楽でいいかもしれませんが、原作を書いたほうから言わせると、「そこは、そうじゃなんだよなー」というのが必ず出てきます。 たとえば、小説をコミカライズされたときに大きく改変されてしまい、不満が残ってしまうとかはよく聞きます。編集部の思惑とかあるでしょうが、なんとももやもやした気持ちになるでしょう。 そういった不満をなるべくなくしたいと考えたのは、クリエイターとして、生み出した作品を大事にしたいという思いがあったからです。 蛸公方さんにしてみれば、もう手を離れた、いってみれば過去の妄想を振り返らなければならなくなり、改めて振り返ってみるというのは、整合性を保つなどの調整が必要になり、長編ならば避けて通れない部分もあり、少し手をかけさせてしまったかと思います。 が、原作者ですので、そこは甘んじて受けてもらおう、と思いました。嫌とは言えないでしょうし。(そこはかとない悪意があったかも) 原作シナリオは、いってみれば勢いにまかせて書かれたものであり、設定などの細部を矛盾なく小説に落とし込むには、あとあと詰めなければならない箇所もあり、それは蛸公方さんも、思ってもなかったところだったかもしれません。あとあとシナリオに修正も入りました。 しかし、そうすることで、一人ではなし得ない小説世界が誕生しました。 遠慮なく、面倒くさがらずに、細かく指摘してもらったことで(そこまでさせられることになるとは思わなかったようですが)、自分の理解度や不得意面も改めて認識できました。それは一人だけでの作業ではわかりにくいことだと思いました。 忙しいなか、イラストも多く手掛けてもらえ、原作者としての愛も感じられました。これについては、ここまでやってもらえるとは思ってもみませんでした。 エブリスタは画像データが載せられる仕様となっているので、おかげで華やかになりました。 しかし……これに懲りてしまって、もう軽々しくシナリオを書いてくれなくなってしまうかもな……と思ったり。 小説は、最初から最後まで一人で考え、一人で書いて完結させるもの、というのが一般的ですが、今後、こういうスタイルが多くなっていくかもしれません。ひとつのコンテンツを複数の人間が関わってすすめていくというのは、コミックなどでは当たり前となっています。 小説でもそれがあってもいいのではないかと思うのは、ぼくだけではないと思います。 ただ、作家は我が強いので、それをよしとしない人も多いかもしれませんが。 今後も、こういう機会があれば挑戦してみたいです。ぼく一人では思いもつかない作品が生まれてくることを期待するという意味もこめて。 最後に、蛸公方さんにも無理を言って「あとがき」を書いていただきましたので、次ページをどうぞ。 2023年4月 赤羽道夫
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