夢から覚めぬ夢

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「先生、この度は大賞受賞おめでとうございます!」 「今のお気持ちを一言お願いします!」 「今回の小説はどのようなお気持ちで書かれたのでしょうか?」 有名ホテルでの受賞式。ついにこの日がやってきた。長年諦めずに書いてきた小説が大賞に選ばれたのだ。 次々にインタビュアー達がマイクを突きつけてくる。カメラのフラッシュが眩しすぎて目が開けていられない。 「あー、押さないでくださーい。危ないですよ。えーと。まずは、本日はありがとうございます。このような大賞をいただけた事に感謝しております。 えーと、この【特別な一日】と言う小説は…」と言いかけてふと思った。 〝あれ?アタシ、恋愛小説なんか書いたっけ?アタシが書いていたのは確かミステリー小説だったんだけどな…。まっ、いっか。大賞とれたんだし…。小さいことは気にせずいこう。〟 「先生どおかされましたか?」 一人でブツブツ言っている私を見て インタビュアーが心配そうに質問する。 「あ、いえ、失礼しました。えーと、これは私の実体験を元に書きました。ぜひ、たくさんの方に読んでいただけたら幸せです。」 〝何だかよく分からない説明だけどまぁいいか…。〟 「本当に信じられない気持ちです。私のようなド素人が書いた小説が大賞をいただけるなんて。本当に夢のようです。」 挨拶を済ませ深々とお辞儀をした。そして祝福の拍手が鳴り響く?…はずだった。 「あれ?」 不思議に思って顔を上げると妙に静まり返っている会場。さっきまで「先生、先生!」とチヤホヤしていたインタビュアー達がニヤニヤしている。 カメラマン達もカメラを床に置いたままニヤついていた。 インタビュアーの一人がニヤニヤして言った。 「せんせー、コレ、夢のようじゃなくて夢だから。」 「へっ?」 その後にカメラマン達や司会者までもが口々に続ける。 「そうそう。夢ですよ。」 「夢に決まってるじゃないですか。」 「ドリーム、ドリーム。」 「ゆーめ、ゆーめ!ゆーめ、ゆーめ! それ、ゆーめ!あっそれ!!」 そう言って全員で手拍子しながら近づいてくる。ニヤニヤしながら私を取り囲んだままどんどん近づいてきた。 〝何だコイツら?やめろ!やめろー!やめろってー!〟
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