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ごくんと飲み込んで前を向くと、ちょうどお父さまも口に含むところだった。
「おお……」
あまり顔に大袈裟な感情をのせない人だけれど、お父さまは目元を綻ばせた。
「柔らかいな。それに、塩だけでもいくらでも食べられそうだ」
「ふふっ。これは特にできが良いものなんです」
「しかし、これは一体なんだ? 初めて食べる味だが……」
「もうすでにお父さまも知っているものですわ」
「はて……。思い当たるものはないが……」
お父さまは首を捻った。
「強いていえば、味は麦のような仄かな甘味があるな。だが匂いは根菜のような土を感じる香りもある。ーーそれにかなり腹に溜まりそうだな」
わたしは頷いた。
お父さまでも三つ食べれば満腹になるだろうし、わたしらひとつを平らげるのもやっとだ。
とても好意的に受け止めているお父さまの様子を見てほっとする。
(これなら、きっと上手くいくわ……。彼(・)にアドバイスを貰えてよかった)
もう一度ジェーンにお願いして、この正体を持ってきてもらうことにした。
「今お食べいただいたのは、これなのです」
扉が開いて、庭師の手で持ち込まれたものを見て、父は目を見開いた。
「これはーー」
⌘ ⌘ ⌘
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