第五話 記憶~夕暮れ~

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 ぼうっとこちらを眺めている少年が呟いた。  病弱でめったに人前に出ないのは確かだけれど、さすがに【幽霊】なのかと直接訊かれたのは初めてだった。  この子はその噂を確かめに公爵邸に入り込んだのかもしれない。  思わずわたしは、 「勇気があるなら確かめてみたらどう?」  少しいじわるな答えを返していた。 ーーでも青白い顔や、この色素の薄い髪を見たら、幽霊だと思うのも仕方ないかも。  同年代の子女と交流する機会は乏しかったけれど、稀に王宮に顔を出した時にも遠巻きにされていたのは、もしかして幽霊みたいな外見で怖がられていたのかしら。  この男の子も怖くなって立ち去るかと思ったけれど、彼は堂々とわたしを見上げていた。 「……そっちに行く」 「えっ」  わたしは慌てた。
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