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正門を守る領主の兵士たちの姿が見えてくると、いまから自分たちがしようとしていることを改めて突きつけられるようで、普段は善良な彼らは少なからず怯んでいた。
農村からここまで来る間にも、実は何度となくやめようと思ったことか。
けれどそのたびこの中年男に鼓舞されて農具を握り直したものだ。
何より、ここで脱落したりすれば農村での今後の居場所がないではないか。
そんな恐れに流されてやってきてしまった。
青年はあまり感情で突き動かされる性質ではなかったが、濃密な人間関係で成り立つ農村でうまく生きていくため、周囲の空気を読んで流れに逆らわず生きてきた。
「ん? あれ……?」
そんな彼だから気づいたのかも知れない。
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