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そうこうして、わたしが時間を稼いでいる間に、王都からのエドワードたちの馬車が小さく見えてきた。
もうすでに、虚をつかれた領主の兵たちも持ち直しているし、そこに公爵家の護衛とエドワードたちの人数を合わせれば、もし今から暴動が起こっても鎮圧できそうだった。
何より、軍事において敵を囲いこむことは、勝利を意味する。
囲まれてしまえば逃げ場はなく、四方八方からの攻撃に抵抗もできない。人は正面以外からの不意打ちに弱いのだ。
賢い人々は、すでにもうそれをさとって戦意を手放していた。
いま、すでに農具を手に城の前に集まった人々は、私たちに囲まれているのだから。
わたしはほっと胸を撫で下ろす。
エドワードのことも、暴動で血を流すはずだった兵士たちも民衆も、守ることができた。
……いいえ、ある意味では、本当に守るべきはこれからよね。
民衆に最低限の食糧を行き渡らせ、今後の男爵領の統治体制を立て直す。
一朝一夕には行かないけれど、わたしはしっかりとした希望を感じている。
「アイリーン」
呼びかけられて、わたしは振り向く。
本当は少し慌てているだろう、けれど民主の前で威厳を失わないよう振る舞うエドワードの声。
「エドワード」
言外に大丈夫だと伝える。
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