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「緊張している?」
「……とても」
エドワードはふわっと笑った。
「大丈夫。僕がついてる」
組んだ腕は以前より頼りがいがあり、少しだけわたしの心も軽くなった。
「さあ、行こう」
「ええ」
一緒に会場へと足を踏み出す。
まばゆい光。
人々のざわめき。
しだいに明るさに慣れてくると、色とりどりのドレスの色彩が目に飛び込んできて、会場の熱気がわたしの肌を包んだ。
女性たちの視線がこちらを向いているーーきっとわたしではなくエドワードだけをーーと思って気を逸らす。
「まぁ!」
「美しい……」
緊張でうまく聞き取れなかったけれど、広間に集まっていた人々がなにか声が漏らしていた。
「エドワード殿下とご一緒されているのはどなた?」
「ほら、公爵令嬢よ! アイリーン嬢だわ」
ざわめきはわたしたちを中心に波及していく。注目を集めるのには慣れていないので、かなり恥ずかしい。
けれど、品位を失わないように背筋を伸ばし、微笑みを絶やさない。
これを幼い頃からエドワードは軽々とこなしているのだから、尊敬せざるを得ない。
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