第三十六話 舞踏会

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 今は、この気恥ずかしくも幸せな時間にひたっていたい。  ふと隣を見ると、わたしを見て微笑む彼。  わたしたちは、会場の熱気と声をかけてくる客人たちから逃れて、人目につかないバルコニーに出ていた。  頬を撫でていく夜風が心地よい。 「エドワード」  隣に立つこの人といられることが、例えようもなく嬉しい。 「わたし、あなたとこれからも一緒に生きていきたい」  エドワードが軽く驚いたように息を呑む。 「エドの隣に並び立つのに、わたしは相応しい女性になれるかしらーー。いえ、もちろんおこがましいとは思う……って、きゃっ!」 「アイリーン!」  話している途中で急にエドワードがわたしを強く抱きしめながら笑った。 「君はもうすでに素晴らしい……大切な、かけがえない人だよ! そんな風に思ってたなんてーーははっ! ああ、アイリーン!」  さらに気持ちが抑えきれないかのようにくるくる回り始めたので、わたしは慌てて彼の首筋につかまった。 「エ、エド!?」
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