第四話 安堵と希望

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 幸運によって死の波を乗り越えるたびに、なんとも言えない気持ちになっていたあの頃。  ーーそこまで当時の気持ちを反芻したところで、なんだかずいぶん暗い思考だと気づいた。  とっくに乗り越えたと思っていたのに。  これは良くないわ。  11歳のこの体に引っ張られてる。  発熱に慣れていても、身体の調子が悪いときは、思考もつられて良くない方へと傾きやすい。  眠りましょう、今は。    寝返りをうつと身体がベットに沈み込む。  休息を必要としている身体は、すぐにうとうとし始めてーーそうして見た夢は、過去のある日の記憶だった。
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