復活節の日

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 ヤハ自身が終了を告げた以上、既に放映は終了しているはずだ。それにたとえ放映されていたとしても、グインには全ての自由が許されている。グインが放映に割り込まないのは放映に割り込むつもりがないからというだけで、アデルが放映中に倒れようとしたならば、間違いなく即座に助けに入っただろう。 「お前らはこいつをコキ使いすぎなんだよ。それに俺は何をしても良い、そうだろう? ヤハ」  ヤハはその年月と苦渋が刻まれた顔をしかめ、手の施しようがない、とでもいうように首を左右に振っってグインから目を逸らした。  その光景を、アデルはぼんやりと眺めている。 「さ、行こうか、アデル。今日はサンドイッチを買ってきたぞ。うまいかな?」  ヤハに対する様子とうって変わり、グインは親しげにアデルにそう告げた。 「グイン、アデル様に不浄のものを食べさせてはならぬ」 「ばーか。俺は何してもいいんだっつの。それこそアレだろ、漸く認めてくれんのか? システムの誤謬ってやつを」  ヤハは思わず動きを止めた。けれどもこの世界には誤りなどあってはならないのだ。そしてヤハに欺瞞は許されていない。だから沈黙をもってしか、グインに答えることはできなかった。それを見て、グインはやはり馬鹿にしたように鼻で笑う。 「どうせヤハたちは追いかけてはこないよ、さぁ行こうぜ」  そう呟きながらグインはアデルの細腕を引いて、官吏たちが眺める中を堂々と歩き去る。市場で買って来たサンドイッチをアデルに食べさせるために。本当はこんなことは意味はないんだろうな、と思いながら。
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