2章

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2章

-夜はあまり好きじゃない。光に包まれていなければ不安になってくる。闇が怖いわけじゃなくて、闇より出ずるものが怖くて仕方がない。地球が太陽の起動に囚われているのと同じで、人間の心も、想像を超える太陽の膨大なエネルギーからは逃れられないのだろう。俺は、ずっと光に照らされていたい。光の下には、怪物は出てこられないから。  闇からのっぺりと姿を現す白い手。うっすらと熱を帯び、ベルベットのようにスベスベとした手。欲情した夜鳴き鳥が俺の耳元に歌いかける。そうして、俺はまた闇に流されてしまう。-
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