ギャルと震度20

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「震度20?そんなの聞いた事ないし」 「ただの噂話なんだろ? 」  苦言を呈す者や、苦笑いを浮かべる者が続出する中、 「繋がったわ! 」 関西弁の大声がそれらを止めた。 「何が繋がったんだ? 」  タイガーは素直に皆の中央に立つ関西弁に尋ねる。 「俺のクソ親父は国土交通省の官僚やったんや」  遠くを見据えながら話す関西弁の言葉に、 「はぁ?それが何だってんだよ」 「お前の親父の話なんて聞いてねぇよ」 周りの者達は、怒りの矛先を見つけたかのようにブーイングを飛ばす。だが、関西弁はその一人一人を丁寧に見つめ、 「地震の管轄は国土交通省、俺の親父はそこのトップ官僚で、当然震度20の可能性を知っとった。そして、このクソゲームは俺のクソ親父が作ったんや、どんな理由かまでは分からんけどな」 ピーチ達昔からの仲間と、最後の戦いを共にしたタイガー、ドラゴンしか知らなかった事実をあっさりと皆の前で告白し、目の前に広がる現状と、ゲーム開発者の息子という事実が、皆の苦しみの言葉を止めた。 「せやけど、震度20だけでは片付けられん違和感もある」  関西弁が難しい顔を見せると、 「違和感? 」 タイガーの疑問に、 「画面は消えてるが、見てみろ」 今度はドラゴンが手に持ったスマホを見せ、廃墟の街を遠く見つめながら答える。 「これだけ倒壊している中、携帯電話の基地局だけ無事だとは思えない。だが、このスマホは通常の連絡は出来ないがゲームアプリとしての機能は生きている」 左上に小さく表示されている電池マークは満タンで、空間充電機能も生きている事を表していた。  関西弁の告白が震度20であることと繋がったところで、それ以外の結論が出ない事への虚しさが広がり静まり返る中、 「じっとしてたって何にもならねぇぞ。震度20だってんなら、まだ余震も起こるかもしれねぇ。とりあえず女子供はもう一度建物の中に入れ」 丸坊主にサングラスの厳つい男が支持を始めると、 「おや、差配人気取りですか、次期組長さん」 蛇頭興行幹部であるサタンが皮肉を込めてプレイヤー名で呼ぶ。サングラス越しに、「その名で呼ぶな」と睨みつけたまま、 「寂れた町に適材適所の手配をする、それが俺達ヤクザの元々の姿だろ」 自分がやるべき事を鼓舞する。 「いつの時代の話ですか」  サタンはクックックッと嫌な笑い方をしながら、 「私はヤクザではなく暴力団ですから、そんな事は知ったこっちゃないですが、まぁ、この状況は金を全く生み出す事もなさそうなんで手伝いますよ」 CHOICE上級編の全大会敗者であり、今大会の処罰者でもあった死神達の差配へと向かった。  タイガーは目の前にいるこの厳つい男が、守るべきものをきっちりと守る人物だとよく知っている。 「やーさん、このまま割り振り頼むよ」 「その呼び方も認めちゃいないがな。さぁ、女子供は早く中に入れ」  普通の人では味合わない経験をしたきたであろうやーさんの言葉には、信頼と重みがある。そして、それを女達はすぐに理解する能力を持っている。ピーチ達は素直に支持にしたがい中へと入っていく。 「あとは何をすればいいの? 」  やーさんの隣には小さな体のジーニアス。 「子供は中に入れって言っただろ」  目線を下ろし、低い声が威圧する。 「僕はそこら辺の大人達より、よっぽど頭が良いし…… 」  身振り手振りもつけて、必死に力になりたいとアピールするも、 「ガキは中だ」 狂気さえも窺える睨みに、 「ちぇっ」 小さな舌打ちをしてジーニアスもピーチ達の後をゆっくりと追った。
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