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レッドダイヤルと連動し、直視すれば目を突き刺す閃光弾のような、強烈な白い光が走った!
「うっ!」
ジョー・ブラックのそんなうめき声を聞いたのは、後にも先にもマイケルただ1人だったかもしれない。
光に目が眩んだジョーは思わずのけ反り、その場に立ち止まった。
開いたシャッターの中に構えていたフィルムの感光剤が反応する。正体不明の男の“影のような”虚像は、くっきりと焼き付けられた。
マイケルはすぐさま地面を蹴って駆け寄ると、顔を隠しているジョーの腕を片手で強くつかんだ。対象物の大きさを正確に捉えるには、レンズとの距離をきちんと測るべきだ。
肉眼で捉えたジョー・ブラックは、目撃証言にあった6フィートをさらに2.5インチ(※約6.4センチメートル。)も上回る大男だった。暗幕のようなだぼだぼの服で覆い隠しているが、体重200ポンド(※約90キログラム。)もありそうな、がっちりとした体格だ。
「君を探していた!」
叫んだのはマイケルだった。
まだ光に慣れないジョーは、強くまばたきをしながら、
「やめろ!」
と怒鳴り、身をよじった。
この瞬間にはすでに、ふたりは初対面にも関わらず、話の通じる相手ではないと、お互いに分かり切っていた。
だがマイケルはナイフを持った手首を離さなかった。
「待ってくれ。警官に突き出したりしない」
「うるせえ! 離せ!」
ジョーがまた怒鳴った。色の濃い肌だった。眉間にしわを寄せ、ずらりと並んだ尖った歯をむき出した、険しい表情だ。
「俺はお前も殺すぞ! お前は見るべきじゃねえ物を見たんだからな!」
「ああ、見たとも。おまけに写真も撮った」
マイケルから冷静に返されたジョーは、一瞬、ひるんだようだった。
月の下で目が合う。もじゃもじゃの前髪の隙間に据えられた両眼は、光を放ちそうなほどはっきりとした黒と白のコントラストを持っていた。
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