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私の通う中高の特進クラスには、母親も専門職って子が珍しくないとはいえ専業主婦も普通にいるわ。
家事や育児を「自分の仕事」として頑張ってる人を低く見る気なんてない。そこまで頭悪くないつもりよ。
周囲の住民は、休日には必ず、週に何度かは平日の夜にさえ垂れ流される利府一家の騒音に耐えて過ごしてた。『家族合奏』という名の、彼らの自己満足以外の何物でもない音の攻撃に。
上品な人が多い土地柄だからか、直接文句を言う人はいなかったみたい。もしかしたらあの家族って、本当に他人に迷惑を掛けてるってわかってない可能性もあるんだ。
世の中いろんな人がいるから、自分たちの常識が世間の常識だと信じて疑わなかったのかもね。「素晴らしい演奏を聴かせてあげている」くらい思い上がってたりして?
まあ、あり得るか。利府一家なら。
合格したとして、の話なのは言うまでもない。
私の目指す大学は、電車で一時間も掛からないくらい。十分近い部類じゃないかな。
それでも、受かったら大学の傍で一人暮らしさせてもらいたい、と私は考えていた。
その理由をよく知る両親も、おそらく反対はしないと確信してたから。
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