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【2】
「──わねぇ。あんな大変な事が起こるなんて……」
「まったくですよね。まさかここで、あ、あら帆南ちゃん。今帰り?」
「そうです。こんにちは」
道端でお喋りしてたおばさまたちの横を通る際に、つい耳が拾ったそんな会話の切れ端。
今しがた聞こえたパトカーのサイレンのせいじゃないかな。思い出すわよね、嫌でもね。
深刻そうな台詞に反して、彼女たちの口調や表情に湿っぽさは窺えなかった。
たとえ可哀想だと、お気の毒だと口にしても、その言葉はおそらく『被害者』に向かうことはない。表面的にはともかく。
敢えていうなら「事件の起こった街」になってしまった、って気持ちの方が強いんじゃない?
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