【2】

3/4
前へ
/10ページ
次へ
 表向きは声には出さない。みんな良識ある大人だもの。  でもおそらくは、ほとんどの人が利府の親子じゃなくそのおじいさんの方に共感、あるいは同情してた。居た堪れなかった。  少なくとも私はそう。多分ママも、パパも。  この春から私は大学生。  両親が学んだのと同じ、近隣では最も学力が高いといわれる大学に合格した。  ママは私と同じく現役だけどパパは一浪だから、「帆南、すごいなぁ! やっぱりママの子だからな」なんて大袈裟に褒めてくれた。  パパのそういう、ママをきちんと認めて平然と表せるところ、私は大好きだし尊敬してるわ。  騒音で気が散って勉強が手につかない、なんて言い訳してるようじゃ受験突破なんてできない。それはよくわかってる。  だけど、邪魔が入らないに越したことないのも間違いないでしょ?
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加