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……面倒くさいので。答えることにした。ぼんぼん出せばこいつ離れていくかと思って。「宮部みゆきとか……京極夏彦とか……有名所ばっかで恥ずいけど普通に東野圭吾とか……」
くわっとその大きな目が見開かれた。「うわわぁ。名前聞いたことあんのに読んだことない……! うわー。感応寺くんが推すならぜぇったいに読んでみよー◇」
面白くて。おれはふっ、と笑った。「読書好きなのに『白夜行』を読んだことがないなんて。そんなやつを読書好きとは言わない」
「むうー」むくれたおまえも、可愛い。「分かった。そんなに言うなら絶対読むもんね!! ぷぅんだっ」……だから。
その、変顔……。
「……あ。笑った★」だから。そんなに可愛い顔をしてるのにそんな……、ぶっ。
たまらずおれが吹き出して笑うとおまえも笑った。……なんかもう。全部。どーでもよくなってしまったよ。おまえの笑顔が見られればおれは……。
あれ。なんだこの感情……。
女に好かれても気づかないにぶちんのおれでも気づいてしまった。おれは、おまえに……。
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